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(プロ野球を「研究する」編No.76)イチロー選手の「本当の評価」

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 こんにちは!! と申します。当ブログにお越しいただき、誠にありがとうございます。

 今回は、

プロ野球を『研究する』編」

の第76弾として、

イチロー選手の『本当の評価』

をお送り致します!!

 

 

「研究する」編で使用される、”奇跡の野球の分析手法”「セイバーメトリクス」とは!?>

 

 セイバーメトリクスとは、野球の戦略・戦術や競技者(選手)を、統計学すなわち「科学」を用いて分析・評価するという、今までにない斬新な手法の事です。野球の本場・アメリMLBでは、この手法を導入したオークランド・アスレチックスが、資金難による低迷から脱して常勝球団になった事等もあって、セイバーメトリクスの有用性が認められており、この手法を用いた球団運営が主流となっています。

  野球の常識を覆し、弱小球団を常勝球団に変貌させる等の数々の奇跡を起こした、いわば”奇跡の野球の分析手法”であり、これを知れば、あなたも「超」野球通です!!

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<はじめに> 

 

 前回(以下リンク)は、共にMLBアメリカのメジャー・リーグ)で成功を収めた、イチロー選手と松井秀喜氏(現ヤンキース球団フロント)のMLB時代の成績を比較しました。

(プロ野球を「研究する」編No.75)イチロー選手と松井秀喜氏を、「WAR」と「1打席当たりの打撃のWAR」で比較する - プロ野球FUN

 

 今回は、多少内容が被りますが、MLBで最も優れた打者(または野手)の一人」とも一部で評価されている、イチロー選手のMLB時代の「本当の評価」について考えていきます。

 

 

イチロー選手の打撃の「本当の評価」>

 

 まず最初に、イチロー選手の「打撃」の評価を考えていきます。

 データ参照(2001年のデータ、wRC+順)は、以下のページです。

American League Leaderboards » 2001 » Batters » Advanced Statistics | FanGraphs Baseball

 

●用語解説

 

OPS出塁率長打率・・・打者にとって重要な「出塁能力(出塁率)」と「走者を進め、還す能力(長打率)」を足し合わせた指標。

 計算が簡単な上に、打者の貢献度をより適切に評価できる。

 打率等の指標よりも、得点との関係性が強くアメリカでは有用性が認められ、多用されている。

 

・wOBA・・・「打者が1打席当たりに、どれだけチームの得点増に貢献したか」を示す指標。

 平均値は、平均出塁率とほぼ同じになる様につくられているため、.330前後となる。

 四球・単打・本塁打等の打撃結果は、当然、それぞれ価値が異なるため、その点を反映するために、過去のビックデータを分析し、それぞれが1個当たり何得点増やすのかを調べ、それを基に係数が付けられている。

 計算式がかなり複雑だが、その分、OPSよりも打者の貢献度をより適切に評価でき、多くの会社で、総合評価の指標・WAR(後述)算出の際に使われている。

 

wRC・・・wOBAに、「球場条件」を加味した指標。

 平均的な打者を100とし、平均を上回れば100を超え、平均を下回れば100未満になる。

 グラウンドが広く(狭く)、打者不利(有利)な球場を本拠地とする打者は、OPSやwOBAの値が実力の割に低くなる(高くなる)が、wRC+は球場条件を加味しているため、wOBAよりも、打者の貢献度を適切に評価できる。

 なお、WARも、球場条件を加味して算出されている。

 

イチロー選手の各種打撃成績とリーグ内順位 

 では、イチロー選手の各種打撃成績(直前に用語解説有り)と、リーグ内順位(規定打席以上)を見ていきます。

 今回は、10年連続200本安打を達成した、いわゆる「全盛期」の、2001~2010年を対象としました。

 

・「イチロー選手の順位」の欄は、「イチロー選手の順位/規定打席到達者のリーグ内人数」を示し、「26/74」であれば、「リーグ規定打席到達者74人中26位」となる。

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 いかがでしょうか。イチロー選手の打撃が、いかに過大評価されているかが分かると思います。

 リーグ内の規定打席到達者は、毎年70~80人前後ですが、ベスト10入りした項目は、10年間でゼロで、ベスト20でも2004年のwRC+(15位)のみです。

 そして、順位が半分以下の項目さえあります(2006年と2008年は、全項目の順位が半分以下)。

 

 やはり、イチロー選手が「MLBで最も優れた打者の一人」というのは、明らかな「過大評価」であると言えます。

 

 イチロー選手の打撃が際立たない原因は、四球や長打の少なさです。

 

 攻撃の目的は、当然「点を取る事」です。

 チームの得点を増やす上で、打者にとって重要なのは、「塁に出る事」と「走者を進め、還す事」です。

 そして、長打を打てば、より走者が進み、より走者が生還します(もちろん、自分自身=打者走者も同様で、より先の塁に進め、より本塁に還れる)。

 

 イチロー選手は、打率こそ高いですが、四球や長打が少ないため、「塁に出る事」と「走者を進め、還す事」の、どちらの面でも際立ちません。

 つまり、打撃面では、「際立ってチームの得点増に貢献できている訳ではない」という事になります。

 

 イチロー選手は、MLB時代2度の首位打者の経験があるので、出塁率も際立っていると思う方もいると思います。

 しかし、MLB時代のイチロー選手は、最高出塁率の経験はありません。

 2001~2010年のシーズン最高出塁率獲得者(ア・リーグ)の出塁率は、全て.400以上ですが(この10年でのシーズン記録の最高は、2001年のジアンビ氏の.477)、MLB時代のイチロー選手のシーズン出塁率.400以上は、2004年の1度のみ(.414)です。

 

 

イチロー選手の「走攻守トータル」の「本当の評価」>

 

 では次に、イチロー選手の「走攻守トータル」の評価を考えていきます。

 データ参照(2001年のデータ、WAR順)は、以下のページです(FanGraphsのいわゆる「fWAR」を参照。今回は、baseball-referenceのいわゆる「rWAR」は、データの都合により割愛)。

American League Leaderboards » 2001 » Batters » Dashboard | FanGraphs Baseball

 

●用語解説

・WAR・・・平均的な「控え選手」と比較して、1年間に何勝分の貢献をしたかを示す指標(詳しくはこちらのページをご覧お願いします)。

 野手の場合、先述したwOBAを変形した打撃指標や、UZR等の守備指標、走塁指標等を組み合わせて算出し、「走攻守トータル」で評価する。

 打者有利・投手有利等の球場の条件も加味されている。

 野手と投手等、異なるポジションの選手を一律に比較できる。

 

イチロー選手のWARとリーグ内順位

 では、イチロー選手のWAR(直前に解説有り)と、リーグ内順位(規定打席以上の野手の中での順位)を見ていきます。

 打撃の評価同様、10年連続200本安打を達成した、いわゆる「全盛期」の、2001~2010年を対象としました。

 

・「イチロー選手の順位」の欄は、「イチロー選手の順位/規定打席到達者のリーグ内人数」を示し、「5/74」であれば、「リーグ規定打席到達者74人中5位」となる。

f:id:baseballsabermetrics:20190203195620j:plain

 

 よく「イチロー選手はWARが優秀」と聞いていたため、「思った程順位は良くないな」というのが正直な感想ですし、1番打者ならではの「打席数の多さ」を考慮する必要がありますが、やはりコンスタントにベスト10入りしているのが分かります。

 2004年には、他の年より1位のレベルが低かったとは言え、WARリーグ1位を記録しています。

 

 打撃が突出していない訳ですから、イチロー選手は守備・走塁でWARを稼いでおり、守備・走塁型の選手が、WAR上位に食い込むのは珍しいので、裏を返せば、それだけイチロー選手は、守備・走塁が優れていたという事になります(よろしければ、前回記事もご覧ください)。

 

 全盛期の「走攻守トータル」で見たイチロー選手や、イチロー選手の「守備・走塁」は、やはり十分に評価されるべきでしょう。

 

 

<おわりに>

 

 選手は自身や家族の生活のために、命懸けでプレーしていますので、選手に正しい評価を与える事は、非常に重要です。

 

 過大評価は、相対的に他選手の評価を下げる事になりますし、過大評価された選手に多く賃金が支払われた分、他の選手にしわ寄せがいきます(貢献度の割に、賃金が少ない選手が出てくる)。

 

 また、選手やチームのモチベーションにも大きく関わってきますので、そういった意味でも、正しい評価は必要です(例えば、実力者を差し置いて、実力の無い選手が試合に出続けると、実力のあるライバルの選手が腐ってしまう)。

 

 残念ながら、イチロー選手は全盛期であっても、「MLBで最も優れた『打者』の一人」とは言えません。

 

 しかし、全盛期の「走攻守トータル」で見た場合のイチロー選手は、十分に評価されるべきで、「MLBで最も優れた『野手』の一人」と評価しても、間違いではないでしょう。

 そして、「守備・走塁」は、高い評価が与えられるべきでしょう。 

 

 MLBという野球の頂点のリーグで、そういった活躍をしたイチロー選手には敬意を表しますし、今後も多くの日本人選手が世界に挑戦し続け、我々日本人に、夢と希望を与えていただきたいと思います。

 

 

当ブログの記事を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!!